取材同行 “料理紳士”のための雑誌『buono(ブオーノ)』
こんにちは、中川チカです。
タイのチェンマイに来ています。
ここは、私の大好きな土地で、人の優しさに触れ、
そして、未完成なものに触れることで五感が呼び戻される場所。
雨の日は、トタン屋根に降りしきる音が懐かしかったり、
水たまりがたくさんできるでこぼこした道、泥が足にはねてすぐ服が汚れるんですが、
それも、また楽しい体験です。
東京での雑誌取材へ
さて、タイに来る前に、3日だけ東京に寄ってきました。
一つは、私自身が学んでいるビジネス塾に参加するためと、
もう一つは、夫の取材に同行するためです。
本格的な料理を追い求める“料理紳士”のための雑誌『buono(ブオーノ)』
という大人のための料理雑誌で、その中華料理企画として、夫に取材依頼をいただきました。
わたしも、雑誌撮影の現場に行くことは、はじめてでとってもワクワクしました。
しかも、対談相手は、NHKの朝イチで同じみの井桁シェフ。
日本で本場ながら、繊細で美しい四川料理を提供されつづけてきた四川料理界の大御所。
わたしは、今年の4月に四川フェスではじめて井桁シェフとお会いしたのですが、
そのお人柄に、一瞬でファンになりました。
目を見て必ずお話をしてくださること、そして料理界の重鎮でありながら、
一つも偉ぶることなく、丁寧に優しく接してくださる「あり方」に心を奪われてしまいました。
多くの料理人さんから熱い支持をうけていらっしゃるのも深くうなづけました。
井桁シェフが中国の四川省に料理修行にいらした時期は、2001年から2003年まで。
私は、2003年に四川省にある四川師範大学に留学していて、
1年でなんと10キロも太りました(笑)
それだけ、四川料理のおいしさに魅了されて、
毎日3食飽きもせず四川料理を食べていました。
五感をともなう体感覚が仕事を彩る
井桁シェフと夫が対談し、二人の四川料理談義を横で聞きながら、
大好きなものが共通している人たちの間で交わされる会話は、何か熱がこもり、
きれない強い絆で一瞬にして結んでしまう、力があるのだと感じました。
一番好きな四川料理はなんですか?という記者さんからの質問に、
わたしが一番好きな四川料理?回鍋肉ですね。
修行時代には、まかないをつくるとき、仲間がいつもリクエストするのは、
回鍋肉で、今日はどんな食材が余っているか、ある日は玉ねぎで、
ある日はキャベツで回鍋肉をつくってました。
と語られるその様子が、なんだかその当時を懐かしく思い出されているようで、
私もその光景を見ているかのような、ほんわりした気持ちになりました。
静かで強い言葉というのは、その人の体験や経験、そしてそこで感じた温かい感情、
それらが結晶のように集まって、人の心を動かします。
単なる知識ではなくて、リアルな経験を通じてしか発することができない言葉、
ほんとうに四川料理を心から愛していてるからこそ、表現される細部。
今でも、毎年2回は四川に自ら足を運ぶという井桁シェフ。
スパイスも自分で買い付けられるというから、驚きです。
自らの大感覚をともなった経験が、「味」の中に加わるからこそ、
さらに料理は彩りを増すのかも知れません。
わたしも、生きている間に自分の体感覚をともなう体験をいっぱいしたいのは、
きっと、薄っぺらい言葉ではなくて、自分の中からわき出る言葉によって、
おこがましいけど、勇気を与えることができたり、可能性が広がるような存在でありたいと
願うからなのかなと思います。
海外にでることは、特別なことじゃなくて、そこに大きな理由がなくても、
自分の5感をともなう、そこにしかない感覚を人生で味わえるのって、
やっぱりその人の人生は彩りを増すと思うのです。
泥水がはねて、汚れたワンピースを手洗いしたり、
降りしきる突然の大雨で身動きがとれず、雨宿りを数時間したり、
聞いたことがない生物の鳴き声におののきながら、道を歩いたり、
ムーンとする植物の匂いや、
灼熱の太陽の下で、じりじりと太陽の熱を感じて、真っ黒になった足を見ながら、
やっぱり、その場所で、その時間に見て、聞いて、匂いで、感じることができるいくつもの体感覚を
わたしは、たくさん味わいたいと思います。
もちろん、仕事も大切だけど、やっぱりその先には、いつも人がいて、
わたしは、その人だからこそしか、生みだせない仕事に興味があるんですよね。
長くなってしまったので、続きはまた今度書きます^^
飄香 麻布十番本店 (ラオシセン ピャオシャン)
http://www.piao-xiang.com
ノスタルジックで美しい空間の店内。
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