DAY8 Start your passion project!本当にやりたいことを知る方法

深夜すぎ、シェムリアップからバンコクのホテルに戻り、ぐっすりと眠りについた。

翌朝、夫とともにバンコクの丸の内のようなエリア、シーロムのカフェで銀行員の人たちが朝のコーヒーを買って出勤する姿を眺めながら、どんなことをやりたい?と未来について話をしていた。

「あの時、お互いが不機嫌になって理由がわかったよ」

それは、シェムリアップのコーワーキングスペースで、今後の事業プランについて話しをしていた時だった。

二人で、今後の展望についてノートに書き記すのだけど、どれも、うまくいきそうではあるけれど、何かしっくりこない。その先を考えようとしても、どこか考えるのがしんどくて、イライラしてしまうのだった。それは、夫も、私も。

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10年かけて形になった四川プロジェクトの集大成でもある「四川フェス」が4月に終わり、日本でも「麻辣」という言葉が浸透しはじめ、コンビニでもたくさんの商品を見かけるようになった。

「本場の四川料理をもっと世界に広めよう」というテーマを掲げ、二人でこのプロジェクトを立ち上げたときは、ポテンシャルを信じながらも、ここまで日本でムーブメントになるまで展開するとは、描いていなかった。

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ここまで、続けてこれたのは、やっぱり好きであるからの一言だと思う。

情熱があることは、大変なことがあれども、続けていける。それを体感させてもらえたのも、このプロジェクトを10年続けてきたことが大きい。お金になるかどうか、という視点だけではじめていたのなら、もうとっくに辞めていたにちがいない。

そして、今、改めて、次の10年の展望を描く時期に来ていると感じていた。日本ではなく、あえて外の世界に出ることで、視点を変えて未来について、じっくりと考えてみたい。

バンコクやカンボジアでは、情報のインプットを減らして、ただ自分の好きに過ごしながら、頭を緩めて、自由に発想する時間を与えてくれた。

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10年前の私たちは、マネダイズという言葉すらも知らなければ、ビジネスとか利益とか、ともかく疎かった。好きなものを突き詰めさえすれば、やがて仕事になり、自分もhappyだし、周りの人たちもhappyになると信じていた。

それは正しい。でも、一方で、仕事の作り方、収入の作り方、心のあり方、人との付き合い方、基本的なビジネススキルなど、そういった知識があることは、好きなことを形にして、継続的に展開させていく上では、欠かすことができないということも学んだ。

そういう学びがあったからこそ、次の展望を描くとき、正直なところ、効率的か?とかビジネスとして成り立つか?とか、複合的に考えるようになった。

ビジネスとして成り立たなければ、収入はなく、継続ができない。それでは、自分も家族もこの世界では生きていくのは辛くなる。そうなると他の人の役に立つことからも遠ざかっていくだろう。だからこそ、効率化、実現性、リソース、利益率を考えることも大切なことである。

しかし、知識を得た一方で、純粋に自分の情熱がある分野なのか?という、そもそもの本質を深く問うことを忘れてしまうことがある。

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他人がやっていることで、うまくいっているビジネスモデルや良い儲け話を聞いたりすることも大人になると増える。自分がうまくいっていないと感じるときほど、魅力的に聞こえたりもする。

その時に、一番大切になる指針は、やっぱり、その分野において情熱があるか。

なぜならば、どれだけビジネスになったとしても、自分にとっての意義を感じられなければ、どこか虚しいし、続けるのが辛くなると思うから。

情熱があることは、自分にとって大切だと感じていることが反映されていることが多い。ゆえに、意義を感じて、やる意味を自分なりに見いだすからこそ、ブレにくい。

過去、夫を見ていて、たとえ、それが仕事につながっていないときも、誰からも評価されていない時期も、どこか、満足げで楽しそうだった。自分がやりたいからやっている、それだけでいいという感じがあった。

未来を描くというより、毎日の時間の中で、やりたいことをやる時間をつくって、ただ、やってみるということを繰り返しているようだった。

 

情熱のあるなしは、どう見分けるのか?

では、どのようにして情熱があるかを見分けるのか?

見分け方は、案外シンプルだ。それは、そのことを考えたときに、感情レベルでワクワクするどうかだ。

普段、自分の感情や気持ちを感じることをセーブしていると、この感覚は、少し感じにくいかもしれない。特に嫌だと思いながらも、なんとなくがんばって生きているとき、人は、負の感情を感じたくないがゆえに、感情全体にフタをすることがある。

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大好きなものばかりの朝食は、feel good. うれしくてまいあがる。カンボジアのお米で作ったシリアルが新鮮だったな。

そんなときは、無理に感情をどうこうしようとするのではなくて、楽しい嬉しいと思う時間を、毎日の生活にほんの少しづつでもいいので、取り入れていくといい。

好きな香りのシャンプーに変えるのもいいし、新しい服やメイクを買いに行くのもいいし、キャンドルを灯すのも。自分にとってのfeel goodを暮らしの中に少しづつ取り入れていく。feel good(良い気分)は自分にエネルギーを与えてくれる。

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すると、少しづつ、感情に気づくようになる。そのうち、負の感情も正の感情も、すべては表裏一体で、その両方が必要ということを理解してから、私自身、そんな両方を持つ自分を許すことが増えた。前はネガティブなことを感じないようにしようと思っていたけど、その分、ポジティブなことも深く味わえなくなっていた。

でも、ネガティブな感情も味わい、そんな自分も許していくうちに、嬉しい!楽しい!というポジティブな感情がより味わいを増してきた。

何を感じているのか?に意識することで、何が好きで?どうしたい?という指針になることが、最近では多い。

ワクワクという言葉は、いろんな意味合いが含まれていて、人によっては、ドキドキするとか、静かな落ち着きを感じるとか、面白そう、素敵など、何か良い感じがすることを意味する。

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シェムリアップのWATBOというエリア。カラフルで見ていて楽しい。

そして、その展開をイメージしたときに、想像力がかき立てられ、少し先の未来のビジョンが見えることが多い。

逆に、成功確率、ビジネス化、効率化、マネダイズ化にフォーカスしてでてきたアィディアは、なかなか良さそうに感じるものの、その先の展開が描けないことが多い。5年それを続けろと言われたら、嫌だなという感じがするものは、まさしくNOサインなんじゃないかと思う。

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南国を旅したり、遺跡や寺院にいるのが好きだといつも、その場所にいると思い出す。日常に帰るとすっかり、そんな小さなワクワクを忘れがちになるので、備忘録。

ワクワクするものというのは、すでに自分が体験してきたことの中に多い。これまで休みの日に誰に言われるでもなくやってきたこと、お金をかけてきた分野、読んできた本、憧れる人、趣味、などなどの中に存在している。

ただ、その時点では、どれも、点に過ぎず、そのつながりが見えないときは、どのように形にしていいか、わからず、自分がワクワクするものってなんだろう?と迷いの迷路にはまることがある。

「職業」のように、どれか、一つに絞らないと!という、脅迫観念みたいなものがあったのだ。

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かつてはヒンドゥー教寺院だったアンコールワットは、時代を経て仏教寺院として使われるようになった。土着の精霊信仰も、仏教も、ヒンドゥー教も、どれも受け入れてる話を聞きながら、おおらかさに安堵した。

好きなことに関連性はあるものの、その好きなものへの関わり方も様々ある。作る、教える、伝える、売る、表現する、など、好きなことが仕事になっていくプロセスを理解するには、少し時間がかかるものだ。

そんなときは、一つに絞ろうと無理することなく、点と点を線にしようと急がず、一つ一つの点を楽しみながら経験してみるといいなぁと思う。

過去からずっとやりたくても、やってなかったこと、行ってみたかった場所へ行ってみたり、読みたかった本を読んだり、人に会ってみたり、旅してみたかった国行ってみたり、気になった映画を見るのもいい。

今、この瞬間に、楽しそう、好ましいと自分の心が感じることを、どんどん体験しに一歩を踏み出していく。

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すると、必ずといっていいほど、この好きなことに、こんな風に関わって生きていきたいなという道筋が、すーと見える瞬間がやってくる。

誰もがそれを経験することができると信じているが、唯一、それまでに大切なことは、社会の通念に踊らされたり、他人との比較をする中で、自分が自分であることを忘れないことなのじゃないかなと。

なぜか惹かれるとか、無条件に好きとか、面白いとかいう感情は、わたしたちの個性を司る大切な宝物。

自分の感性に従って、今という時間に、好きなこと、楽しいことをどんどん体験したらいいんじゃないかと思う。

必ずしも、外に出ることだけじゃない。家で本を読んだり、ノートに書いたり、作ってみたり、そんなことも含めて、好きなことをする時間を今日から増やしていってみることからなら、はじめやすい。

私たちは、すごいことをするために生まれてきたわけでも、かっこよく生きるために生まれてきたわけでもない。一人ひとりがそれぞれの楽しみ、喜び、悲しみも含めて、思う存分、この世界を味わうために生まれてきたのだと思う。

いつか、自分の感性に従って動いた、点はつながり、私たち、一人一人にとってのキラリと光る道筋が見えるのじゃないかと私は信じている。

 

 

滋賀県生まれ。東証一部上場企業の営業職を経て、タイ王国を代表する企業、タイ国際航空へ転身。4年間のバンコクベースを経て、ドイツのオーガニックコスメ好きが高じてドイツ・フランクフルトへ移住。 世界98カ国、274都市に就航する欧州メガキャリアにて5年間、国際線の客室乗務員として従事。2017年に日本へ帰国し、夫と時色株式会社を設立。

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